福井が試みた早刈りそば(在来種を守り続けてきた生産者より)
夏蕎麦の刈り入れの季節となり今日は福井の誇れる生産者のお話をしたいと思います。
作物の品種改良の技術が進んだ昭和40年頃から全国では、そばの生産量を増やすため自然災害に強く育てやすい改良種のそばが広く生産され始めました。その中で福井県は福井に根付く昔ながらの福井在来種を守り続けることを決め生産を続けました。
ですが、小粒で風味豊かな在来種は自然災害に弱く、その環境の中で守り続け生産量を増やす事は非常に困難だったそうです。
毎年、生産者たちは丹精込めて育てたそばが途中まで順調に育っていくのを喜び、収穫を楽しみにしていましたが、あともぅ少しで刈り入れに入れるというところまできて大雨や強風などの自然災害に合うことに頭を悩ませていたようです。
そこで2002年頃から福井は通常の収穫期より2週間ほど早く刈り取りる(早刈りそば)と呼ばれる試みを始めました。
完熟そばとは違い比重が軽く更にまだみずみずしい青い草花と一緒に刈り取る早刈りは、通常コンバインでは直ぐに目詰まりが起こるので、なかなかうまくいかなかったそうです。その時に試験的に初めて早刈りのそば粉を使って蕎麦打ちをしたそうなのですが、青々しい早刈りのそば粉で打った蕎麦は完熟そばほどの味わい深さはないのですが、薄いグリーンの色をし青葉のような若々しいその香りに完熟そばとは違う感動を覚えたそうです。
そこから福井県では、3年の月日を費やしコンバインの改良をして本格的に早刈りそばの収穫ができるようになりました。
早刈りそばを楽しめるのは新蕎麦の時期の最初の数週間だけということと、薄く緑がかった色や若葉のような青々しい香りとツルツルとした口当たりが良い事が、最近では全国の蕎麦好きや蕎麦打ち愛好家に広まり季節商品として好まれ年々ファンが増えています。
また黒く熟した状態黒化率48%と97%とと比べ、コレステロールの抑制作用があるとされるポリフェノールが1,2倍、血管増強や血圧降下作用を持つルチンは2倍含まれていることもわかりました。つまり、完熟蕎麦よりも早刈り蕎麦の方が体に嬉しい栄養価も高いと言う事です。
昔ながらの福井の宝である在来種を守りながら新しい事にも挑戦していく…福井の生産者達…
私達はその素晴らしさを全国にお伝えしたい一心で今日も蕎麦打ちをしています。