素敵な出逢い
GW明けのある日の朝、私の携帯に見知らぬ固定電話からお電話がありました。(時間外の着信はお店の電話が携帯に転送されているからなのですが)
ん?こんな朝早くになんだろう?と思いながらお電話を受けてみると、ご年配らしき女性の方の声で
『…あの…私、新聞を見て、ずっと3人のことを応援していたのですけど…冷凍蕎麦はどのようにしたら買えますか?』
私『え?新聞とは?1年前の新聞のことですか?』(起き抜けに1年前の話が出てきたので頭がすぐについていかず💦)
『あ、あの冷凍蕎麦は温度管理が大切なのでECサイトから購入していただいて、こちらから発送するという形を取らせていただいているのですが、
お客様はネットが出来る環境にいらっしゃいますか?』
そぅ始まって丁寧にヒヤリングをしてみますと、色んな事情が理解できました。
お電話をくださったのは85歳の福井市内在住のお母様。
東京在住の娘さんがGWに帰省してくるのをとても楽しみにして、娘さんの好きな小鯛の笹漬けを購入して待っていたそうです。ですがGW中も東京はコロナ感染者が一向に減らず、お母様の身を案じた娘さん夫婦は今回の帰省を断念したのだそう。
お母様は、会いたかった娘さんにせめて福井の物を食べさせてあげたいと想い、購入しておいた小鯛の笹漬けを冷凍し、娘さんに送ることにしました。そこで何か他にも娘の好きな物を詰めて贈ってあげたいと考えて『冷凍…冷凍できる…娘の好きな食べ物…あぁ!福井の蕎麦だ!あの時のお蕎麦なら娘がきっと喜ぶ!』そぅ思いつき、一年前の新聞で見た私達のことを思い出したそうです。
最初の段階で『当店の商品は温度管理が大切と』とお話をしていたので、お母様は
『発泡スチロールを持って、私そちらのお店に行きまして、溶かさないように頑張って早く帰りますので、お店の場所を教えて下さいませんか?』
『私、もぅ、85歳で普段はあんまり車には乗らないのだけど、免許はまだ返納していないので、今日こそは思い切って自動車に乗って、お買い物に出てみようと思いますんで、売ってもらえないですか?』
お母さんにこれまでの経緯と事情を聞いているうちに…私はもぅすっかり、娘さんのために一生懸命なお母様が愛おしくなっておりましたので
『お母さん、道もわからないのに、滅多に乗らない車で出掛けたら危ないから、私が午前中にご自宅までお蕎麦を届けますからお家で待っててください』と住所を聞いて冷凍蕎麦を配達をすることに…
氷業者さんの開店時間を待ってドライアイスを購入し、工房に行って、娘さんが好きだという【おろし蕎麦セット】と、ドライアイスを段ボールに詰めて、いざ!お母さんのところに〜
30分ほどかけて到着したお母さんのお家は玄関までにお花に囲まれた素敵な小道があって、そこから玄関にたどり着くとドアが開いていました。
『こんにちは〜お母さんお蕎麦配達に、来たよ〜』
と玄関で呼ぶと『はぁーい』と奥からは、想像していた通りのとても澄んだ目をした優しそうな、お母様が…
『お母さん、お電話ありがとう。これがお蕎麦でこれはお出汁で、お蕎麦が潰れたら駄目だから、この箱に入れたまま段ボールに梱包してね。あ、小鯛の笹漬けはここに入れるいいよ』と説明していると…お母さんが『私ね、もぅ一度あなた達3人の新聞記事が読みたくて、さっきから探しているのだけど、見つからなくてね』
と話しながら奥からどっさりとノートを運んできてくれました。
そこには新聞の切り抜きをスクラップしたノートが数冊
『私ね、頑張っている人を応援するのが大好きでね、頑張ってる人を見付けると、こうやって新聞を切り抜いて大切に保管してみんなを応援してるの。あなた達のことも新聞で見て、3人の力って凄いなぁ〜って…それからずっと三姉妹のことも応援してたのよ(*^^*)でも、さっきから探しているのだけどね、ノートが多すぎて、あの時の記事が見つからないの、もぅ一度見たいのに…』
『お…😭お母さん…!😭😭😭私達がなぁーんにも知らないところで、そぉーやってずーっと応援してくれてたの?見ず知らずの私達のことを?』
お母さんのスクラップノートを見ていたら、嬉しくて涙が込み上げて来ちゃいました。
配達に来て良かった…😭
『お母さん…私、お母さんに出逢えて本当に良かったよ🌟お電話くださって本当にありがとう。娘さんに喜んで貰えたら嬉しいね😭』
配達の御礼にと同じく頑張っている人が作っているという大野のピクルスいただいて…足元が危ないからここで良いです。という私のお願いも聞かず、私が帰るまで杖をついて玄関の外まで来て、車が見えなくなるまでずっと手を振り続けてくれたお母さん😭
GWも休まず仕事してて良かった😭こんな素敵な出逢いに感謝です。
今はデジタルな世の中かもしれないけど…改めて新聞って…活字って良いな〜と思いました。
福井新聞さんありがとう🌟
当店が冷凍蕎麦の開発を考えた理由の1つとして…
コロナ禍で帰省したくても、なかなか帰省できない遠く離れた大切な家族に、懐かしい福井を思い出し、喜んで貰えるような商品作りを目指したいという想いがありました。
お母さんとの出逢いを経て、益々、これからも、人に喜ばれる商品作りを目指したい!
その気持ちが強くなった春の陽射しが眩しい日でした。☀